アメリカ産グレープフルーツのうち、フロリダ産は40%、カリフォルニア産は40%、テキサス産は20%を生産しており、世界最大級のグレープフルーツの産地でもあります。
近年減産傾向にあるものの、2019年時点でのフロリダのグレープフルーツの栽培面積は10,000ヘクタール(東京ドーム約2,100個分)に上り、その多くが大西洋沿岸にあるインディアン・リバー地区に集中しています。フロリダのグレープフルーツの実に7割以上が、インディアンリバーで生産されています。
なぜインディアンリバー地区はこれほどグレープフルーツ栽培が盛んなのでしょうか。その理由は、インディアンリバー地区ならではの、グレープフルーツ栽培に理想的な自然環境にあります。
フロリダ州のインディアンリバー地区は、北はオートレースで有名なデイトナ、南はマイアミの郊外都市ウェストパームビーチに区切られ、大西洋沿いの南北約300キロの土地に広がっています。
そこは、さんさんと降り注ぐ太陽の光に恵まれた亜熱帯気候の土地で、降水量も豊富です。
またその土壌は、大西洋に隣接しているため、海水の影響でカルシウムやミネラルをふくんだ、貝殻とサンゴの破片でできたコキナ石灰岩から成っています。
どこまでもつづくような、起伏のすくないその土壌の、わずか60-90cm下には、地下水脈があります。
温暖なフロリダにも冬が訪れるころ、フロリダグレープフルーツの旬が到来します。
店頭に並び始めるのは例年12月頃ですが、甘味が増し、最も美味しくなるのは2月から5月一杯ごろまでと言われています。
フロリダ産グレープフルーツの自慢は、大量の果汁、バランスのよい甘みと酸味が織りなす絶妙な味わい、皮が薄くたっぷりとした果肉、健康によいさまざまな成分・・・・・どれも、インディアンリバーの豊かな自然の恵みがグレープフルーツにもたらしたものです。
ところで、みなさんは、果皮にたくさんの傷がついたグレープフルーツを店頭でみかけたことはないでしょうか?それはきっと、フロリダのグレープフルーツです。この傷こそ、フロリダのグレープフルーツがインディアンリバーの豊かな自然の中で育った証拠なのです。
時にハリケーンの被害に見舞われることもあるフロリダでは、グレープフルーツは、強い風や雨にさらされます。このとき、葉や枝と果皮がこすれあって、グレープフルーツの表面に傷がつくのです。
自然のなかでのびのびと育った生命は、それぞれに、その生まれ育った環境がしるした、個性的な見た目をしているものです。ちょっといびつで、 傷がついているのもまた、フロリダグレープフルーツの自慢のひとつです。