暮らしやすく働きやすいフロリダ州は、柑橘類の栽培にも適しています。
亜熱帯の気温、豊富な降雨量、たっぷりの陽光、砂質の土壌。フロリダの環境は、甘くてジューシーなグレープフルーツの栽培に適しています。その中でフロリダのグレープフルーツ生産者は、持続可能な農法を取り入れ、フロリダ州の自然保護に努めています。
また、第一線の科学研究者と協力しながら科学的データを用いた農法の改善も続け、更なる水使用量の削減、野生生物の保護、土壌浸食の抑制を目指しています。彼らの取り組みの一部をここでご紹介します。
- 木の根元に小型の電動ミスト機を設置することで、水管理の効率化をはかっています。また、電動ミスト機を用いることで、液体肥料を正確な場所に散布することも可能になり、余分な肥料使用を防ぐこともできます。
- 畑に自動気象観測所を設置して雨量、風速、湿度をリアルタイムで計測し、正確な灌漑や施肥のスケジュールを立てています。
- 樹木の列の間を黒いメッシュのカバーで覆うことで水の使用量を50%削減し、除草剤の量も削減しています。
- カバークロップ(作物を作らない期間に土壌侵食の防止を目的に作付けされるイネ科やマメ科などの植物 )を戦略的に取り入れることで、土壌を浸食から守り、土壌の質を向上させています。
- 赤カオリン粘土を植樹したての木に散布して林冠(太陽光線を直接に受ける高木の枝葉が茂る部分 )を覆い隠し、ミカンキジラミ(かんきつ類の樹皮につく農業害虫 )対策の農薬の使用を最小限に抑えています。カオリンは有機無毒の鉱物で、水と混ざると粘土になります。柑橘類の木に散布すると、その色が昆虫の感覚系を混乱させると言われています
- 植樹したての木をツリーバッグと呼ばれるカバーで覆って害虫対策とすることで、カンキツグリーニング病(キジラミが原因となって起こるかんきつ類の病害)を防ぐとともに農薬の使用量を削減しています。
- フロリダの柑橘畑の大部分は、鳥、カワウソ、ヘビ、魚、ワニなどの野生動物の自然生息地としても機能しています。
古くからフロリダの人々は、環境への影響を最小限に抑え、天然資源を保護しながら土地を耕してきました。彼らは果樹園を守り育てるために情熱を傾け、未来へつながる課題にも真摯に取り組み続けています。こうしたたゆまぬ努力のもとで、世界で最も甘くジューシーなグレープフルーツが育っているのです。